21-壱「棒」

私は両親にとって初めての子どもだった、

ということもあり、

私の幼少期の写真アルバムには、

親の気合いの入った手書きコメント付きだったのをよく覚えている。

 

その中でも印象的なのが

 

「あなたは穴を見つけるのが大好きで、よく棒を突っ込んでは遊んでいるね」

 

という母のコメントと

実際にベビーカーから身を乗り出して

何かの穴に棒を突っ込んでいる自分の写真だった。

 

まあそれは「そういう子供時代だったんだな」と

なんとなくふんわり頭に残ってる感じではあったのだが。

 

昨年秋に帰省した時に、何気なく母に

「私って昔はどういう遊びが好きだったかなあ?」

と問うと、母は迷わず

「穴に棒を突っ込むことやね」

と答えたのだった。

 

いや、そこはおもちゃとかアニメとかを答えるんやないん?という思いと

やっぱりそうか、そこか(笑)と妙に納得する思いの両方があった。

 

 

たしかに大人になった今でも

なんか隙間とか穴っぽいのを見かけたら

なんか気になる、ということはよくあるのだ。

 

仕事でも、山積みの製品を

仕分けする感じの作業の日もあるが、

1箇所だけ集中して取り続け、

結果、穴ができたような形状にしてることもある。

(仕事仲間にウケるか驚かれるかのどっちか(笑))

 

そういう時の心境を振り返ると

「掘った先の底が見たい

「このにあるものが見たい

という気持ちに突き動かされているなあ、と。

 

だから子供の時の私もきっと

そういう気持ちだったんでは……

 

……いや、そうじゃないか。

 

子供の時の気持ちが

いまの私の心身に絶えることなく

ずうっと流れていて

きっとそうさせているのだ。

 

あの写真に握られていた棒こそ

未知への興味が込められた

私の情熱そのものなのだろう。

 

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w2しょっぱなからこれが出るとは(笑)