21-玖「万人ウケは難しい」
全ての人を納得させる方法なんてあるのかなあ。
それはどんな分野でも至難の業だ。
自身の考え方も十人十色なら、相手の受け取り方なんて千差万別だから。
正社員と違って、パートやアルバイトの世界は人の入れ替わりが結構ある。
自分のパート先でも、辞めラッシュと新人ラッシュがセットで続いた時期があった。
新人さんが複数人いる時、仕事を教えるのに偏りが出て来ることがある。
「教える人によって伝え方が違うため」だ。
「あの人はああ言ってたけど、この人はそれを言わないし、違う事を指示してくる」なんてこともある。
そして教える側にも「同じことを何人にも始めから説明しないといけないので疲れる」ということも起きる。
そんなことが続いたある時、
「なんか統一したいよねー、紙に書くとかしてさ。ぷにさん書いてきてくれない?」
とAさんから話を振られてきた。
……私か……。
Aさんは自分の手を汚したくないタイプなので、自分の不満は誰かの口を通して上に伝える手法をとるのはわかっていた。
そんなAさんの頼みを引き受けて上から怒られたことが何度かある私。
今回も嫌な予感はしたが「説明の統一」の必要性は私も同意だったので「いいですよ」と引き受けた。
紙に説明を書く、と言っても、何気ない動作を「初めての人でも解るように」と言葉にすると結構な量になる。
見やすいように絵もつけるか……とかやってると一枚じゃ収まらない。
そして書いてるうちに
「あの作業に何の疑問も感じてなかったけど、こういう意味があったのか」
「あの道具の正式名称を今まで知らんかった」
とか、自分にとっての新発見が結構あって、ちょっと面白くなってきた。
睡眠時間を削りまくって、ようやく完成したものはマニュアルっぽい紙束。
それをもって行ってまずその場にいる人たちに見せる。
「すごいね、これ私も時々見たいわ」
とか言われて「よっしゃ」と心の中でガッツポーズをして、パートの責任者に見せに行く。
「新人さんににこれを見せながら言うと、みんなの説明がバラバラにならないと思うのですが」
と渡すと、返ってきた言葉は
「こういうのは社員の人がやることだから」
と却下されてしまった。
要は「パートの分際で出しゃばるな」ということである。
どうやらパート仲間にも「出過ぎた真似が気に入らない」という考えの人も複数いたらしく、マニュアルっぽい資料を見せてるのを見て、責任者に先回りして採用しないようにと釘を刺していたようだ。
円滑にするための説明書きも
そうは受け取らない人もいるんだな
と感じた瞬間だった。
万人が納得する形は
こんな日常においてでも
見つけるのが難しい。
はあ……だめかあ
でもまあ自分も発見があったから
これはこれでいっか……
とマニュアルもどきをカバンに収める私の耳に
責任者と話すAさんの声が飛び込む。
「ですよねー!ひとりひとりに丁寧に口で説明すればいいことですよねえ♪」
……くっ、Aさんめ……(怒)!
Aさんは見るからに世渡り上手な人だが
私はああはなれないだろうなっていうか
ああなってまで世渡りなんかしなくてええわ
と思った出来事だった。
「S8」「剣の騎士」
シャッフルしてるとS8だけが裏返しになって絵が見えていたので縁を感じてまずこれを採用。
そのあと引いたカードが剣の騎士。
またどらえい組み合わせを……と思ったが
キーポイントは双子座の最初だな……と気づいた。
みんなのために、と情報を集めたこと
そこに楽しみを感じたこと
そして万人に受け入れられないことで起きる悩み
それらを集結した出来事は?と掘り起こしたのが本日の内容。
ちょっと結末がお粗末ではあるけども(笑)